「翔さま。会社に向かう時間です。」 ドア越しに救いの声がした。青年が軽く舌打ちした。 「今夜は、帰らん。大人しく“考える”んだな。」 手を解放しベッドから降り出て行った。 入れ代わりで滝沢が入って来た。 「紫乃さま、主人を制御出来なくて申し訳ありません。今夜は、供で遅くなります。他の者に留守を頼みますので何かあればこの鈴を鳴らして下さい。」 服を直しベッドサイドに鈴を置いてくれた。 「行って参ります。」 「行ってらっしゃい。」