「もう、誰も居ないと言うの?」


「残念だけど…それが現実だよ……。」


―・―・―・―・―・―・―


 最後の記憶は、血の赤と鋭い痛み。そして…男の電話の音。


「大久保さ~ん検温で~す、って…聞こえてないわよね。失礼します。」


 仕切りのカーテンを開けて中に入る。

 柔らかい声にゆっくりと反応する。


「…看護師さん。……両親もこの病院に…居ますか?」


「えっ!大久保さんっ、起きて…」


 看護師は、驚きの声を上げて走って病室を出で行った。