要領を得ず首を傾げる母親は、叫びにならない声を上げる。 「えっ?」 母親の力ない指は、自分の後ろを指している。ゆっくりと後ろを振り向こうとする肩を掴まれた。 「っ、!?」 「気づくの…遅かったね。」 柔らかい男の声で囁かれ振り向かされたと同時に胸に鋭い痛みが走った。男の顔を見る間もなく電気が再び消され…意識も薄れながら両親の上に倒れる。 イルミネーションが見える。 無くなっていく意識の中で男の電話の音を聞いていた。 血の中で…血を洗おう。