「何、怯えてんだよ。お前は、僕の婚約者だろう?」


 近づく“男”剥き出しの将大の態度に初めて恐怖を感じた。


「やめて。婚約者だけど、節度は守って。」


 なんとか返せたのはそれだけだった。


「“節度を守れ”だって…?本気か?」


 明らかに苛立っていた。刺激しないように穏やかに話す事を心がける。


「お願い…こんな事で関係を壊さないで。」


「フッ、なら…」


 両手首を掴まれた。


「ん゛っ!!」


 不意をつかれて唇を奪われた。