「なら、話しても…いいかな?」


「将大から聞きたい。」


 医師が病室の外に居た事を紫乃は、知らなかった。


「気をしっかり持って聞くんだ。」


 手を握り目を見つめられて覚悟を決めた。


「紫乃。ご両親は…亡くなったよ。」


 世界の崩れる音がした。スーッと涙が頬を伝う。


―・―・―・―・―・―・―

「もう、誰も居ないと言うの?」


「残念だけど…それが現実だよ……。」


 涙がボロボロと紫乃の頬を濡らす。


 1人の淋しい世界になっていた。