「高見専務より、営業部西森部長の票が20票上回りましたのでコレにより大久保グループ新社長に決まりました事をお伝え致します。」 進行を任された秘書課の主任がアナウンスを繰り返す。 「おめでとう。」 「新社長、就任おめでとう。」 青年を推(お)していた重役たちは、駆け寄り祝福する。 負けた専務は、苛立ちを隠せないまま会場を立ち去った。 「ありがとうございます。」 何度も頭を下げてお礼を言う。 「お嬢様を頼むぞ。」