「あ、あの…橘く―――」 「“ハル”」 「え…?」 「…これからは、“ハル”でいいから。」 あたしは彼が言った言葉を理解するのに、すこし時間がかかった。 “ハル” 心の中で呟いてみると、胸がキュッてなった。 「…じゃあな。“美心”」 「…!、うん!!ばいばい!“ハルくん”!」 あたしは急に呼び捨てにできなくて、「くん」付けで言った。 だって、あたしが呼び捨てで呼んでる男子なんて… イトコの達樹くらいで………。 ハルくんはフッと笑って、来た道を戻って言った。