ダメだ、あたし…。
電車に乗ると、眠くなる…。
「美心、起きろ。美心」
「……ん~~」
ぼんやりと目を開けた。
ヤダ、あたし…また寝ちゃったの?
まだ眠いあたしの手をハルくんが引っ張った。
よたよたと歩きながら駅を出た。
「美心、ほら」
「え…?」
「海」
顔を上げると、あの時と同じ、スカイブルーの海が広がっていた。
あのときと、同じ海。
だけど、あの時とは、どこかちがう。
ああ、そうか。
あたし達の仲が深まったんだ。
菜樹ちゃんと、山口くんが付き合って…。
あたしと菜樹ちゃんも、もう何も隠し事がなくなって。
そして、あたしとハルくんも……。
だから、あの日の海より、今の海のほうが、輝いてる。
ハルくんの方をみると、丁度、目があった。
「綺麗だな」
そう言って、ハルくんがあたしの手を強く握った。
【END】