「…あんま、我慢すんなよ」
「え?」
…我慢?
「泣きたくなったら、泣けばいい。」
泣けばいい?
あれ?あたし泣いたのいつだっけ?
こんな事思うのおかしいかもしんないけど。
ああ、そうだ。
あたしずっと、泣いちゃいけないと思ってたんだ。
あたしが泣いたら、親に迷惑かけちゃうから。
あたしずっと泣くのを、我慢してた。
「…泣くことを我慢してたら、身がもたねぇだろ?」
なんでこの人は、初めて話したあたしに、こんな言葉を、かけてくれるんだろう。
あたしは泣きそうになって、グッと耐えるように唇を噛んだ。
「…ったく。泣くの我慢すんなっつてんだろ?」
そう言って橘 ハルはあたしの頭を
くしゃっ
と撫でた。



