「ちょっ!あんた――」
達樹が声を一瞬荒げたけど、すぐに収まった。
いきなりすぎる出来事に、頭が追いつかなかったけど、
頬に感じる強い痛みで、理解できた。
あたし、ビンタされたんだ。
そんなことを思っていると、
急に、暖かい腕に抱きしめられた。
「なんで、なんで言ってくれなかったの!?!?」
ギュウっと
あたしを抱きしめている菜樹ちゃんの力は、強くなった。
なんで、って。
だって、あたしは、菜樹ちゃんの苦しむ姿なんて、見たくなかった。
っていうか、菜樹ちゃんは、関係なかった。
最初から。
唯香たちは、勘違いをしていたから、あたしが、本当のことを言ったわけで。
だから、あたしがいじめられるのが、本当で。
………どっちにしろ、きっと、こうなってた。



