「そういえば、イヴ様も見当たらないんですよね……」
「え?イヴもいないの?」
彼は嬉しそうに使用人に尋ねる。
尋ねられた彼女は、しまったと言う顔をした。
「だったら、僕が探してくるよ!」
「いえ、大丈夫です!イヴ様でしたら、私がちゃんと責任を持って探してきますから!」
「いや、でも……」
「ですから、ロイ様は今夜の準備をなさってください」
それでは失礼します、と頭を下げ、使用人は慌てたようにその場を離れていった。
「いやいや!それで素直に引き下がるわけないでしょ!」
ロイは部屋の散策を兼ね、イヴを探し出すことにした。
1日で回りきれる自信がない。
迷子になったら、それこそ最後だと思う。
彼は、今まで辿ってきた廊下を思い出しながら足を進めた。