胸に手を当て、お辞儀をする。
二人も微笑み、彼に挨拶をした。

絵画を持ち、元あった場所に行く。
廊下や部屋を通る度に、今宵あったことが次々と思い出される。

図書室で浮いていた本。
追い掛けてきた謎の影。
甲冑との不思議な戦い。

思い返せばどれも悪夢のような出来事だが、それでも今はどこか懐かしく感じる。

ロイはルーベルトを元あった場所に掛けた。

「それでは、そろそろ失礼致します」

「うん。また来年ね」

ロイがにっこりと頷く。
彼も笑い返すと、窓の外を見るよう二人に言った。

日が昇り始めていた。
波打つ湖面が、宝石のように光る。