マスカレードに誘われて


「エリカ?」

ポツリと言ってみる。
しかし、風で木々が揺れる音しか帰ってこない。

ふと足元に視線を落とす。
そして、彼は目を丸くした。

「エリカ!」

慌てて駆け寄る。
近くには、夕刻彼女にあげた紫色の石が付いた首飾りが落ちている。

石は粉々に砕け、破片が辺りに散っていた。
その側で剣を握り締めたまま、力無く倒れているエリカ。

「エリカ?しっかり!」

抱き起こし、身体を揺さぶる。
今までにこのような事は一度もなかった。
だからこそ、混乱してしまう。

名前を読んで揺さぶるうちに、彼女の瞼がピクリと動いた。
そして、ゆっくりと目を開ける。