あのような光景を見た後で、すぐには理解してもらえないと思う。
それでも、わたしの願いを聞いて欲しい。

イヴはそれを言うと、恥ずかしそうに顔を赤らめてロイの影に隠れた。
そして、キースの服の袖を引っ張る。

「怪我人の手当てを……」

「畏まりました」

一礼すると、彼は人と道具を取りに広間を出ていった。

「あたし達はどうしたらいいの?」

何をしたらいいのか分からず、その場に人々は留まる。
その内、一人の女性が声を上げた。

困惑しながらも、ロイは覚悟を決めて前へ出た。

「是非とも、広間に留まらずに屋敷の中を歩き回ってください。彼等なりの、おもてなしをしてくれると思います」

そう言って、ちらりとイヴを振り返る。
そして、二人は小さく笑った。