「私は、ロイ様にとって信頼できる人物に能(あた)っているでしょうか」

「え?それ今訊く?」

ロイが足を止める。
キースは彼の隣に並ぶと、少し不安げな顔をした。

「はい。やはり、ホーキング家に仕える者として、そこは気になります」

「そんな気に病むことじゃないのに」

並んで階段を上がる。
ロイは軽く笑うと、持っていた剣を掲げた。

「そんなの、訊かなくても分かることなのに」

「どうしてですか?」

「それは、自分の左耳を見ればいいよ。キースの耳にその紋章がある限り、僕は君を信頼し続けるし、絶対に見捨てないから」

「ロイ様……」

感動したように、キースが呟く。
彼は左耳についているピアスをそっと触る。

ロイは彼の方を向き、悪戯っぽく笑った。