自己紹介が終わるといきなり真白は俺に抱きついてきた。                                                      _______ バタン・・・!                                                                 いきなり抱きついてきたので俺は後ろに思いっきり倒れた。                                                     真白は俺に馬乗りになって言った。                                                                「幸祐、あなた私と会ったことあるでしょう?」                                                          「会ったことなんてねえよ。今日が初めてだろうが。」                                                       「だって昔幸祐に助けられたもん。覚えてないの?森の中に迷い込んだ私は大泣きして、・・・・。」                                                                        「思い出した!お前、あの時の村娘か。」                                                             俺は真白を指差していった。                                                                   真白は満面の笑みで言う。                                                                    「そうだよ。だからつまり・・・・・・私の初恋の相手あなたなの。」                                                「は、初恋って・・・・俺は妖でお前は人間。結婚することは愚か、付き合うことだってできねーんだぞ!」                                                                       「だって幸祐のお父さんは人間のお母さんと結婚して、幸祐を産んだんでしょ?それと同じじゃない?」                                                                         「た、確かにそうだけど本当はダメなんだって!これにはちゃんとした理由があってだな・・・。」                                                                          「理由・・・私の納得のいくような理由なんでしょうね?」                                                     「納得するかどうかは分からないけど、今、俺たち妖怪は数が減ってきてるんだ。数を増やすためには妖同士で交わり合い、子供を作らなきゃいけない・・。妖怪の俺が人間であるお前と結ばれて、子供を作ったとしても妖怪の血はどんどん薄められていくだけで数は増えないんだ。それに俺はこの刃狐館家の後継も作らなきゃなんねえ。父上が人間の母上と交じりあったことで妖怪と人間の力を持った俺が産まれてきちまったんだ。薄くなった血を戻すには妖の女と交わらなきゃ妖は増えないんだよ。分かってくれるか?」                                            「幸祐・・・もう妖怪の力は使わないで。そうすればただの人間でしょ?幸祐は人間として生きるか、それとも妖怪として人間から嫌われながら生きていく。どっちが幸せだと思う?」                                                                             「そ、それは・・・・」                                                                     俺が息詰まるのと同時に、父上が部屋に入ってきた。                                                        そして、一つ咳払いをすると言った。                                                               「幸祐。妖怪は本来いちゃならねー存在なんだ。俺が人間の母さんと交わったのも妖怪の血を薄めるため、やったことなんだ。だから無理に妖と交わることはねえ。人間のこの子・・・いや、惚れた女と楽しい人生を送ればいいじゃないか。実はお前もこの子に惚れてるんだろう?」                                                                        俺は顔を真っ赤にして下を向いた。そう・・・俺は昔会った真白に今もなお惚れているのだから。                                                                            父上は真白に向き直って言った。                                                                 「真白ちゃん。こいつは不器用だから好きって一言も言えねーんだ。心の中では、君と結ばれたいって思ってる。こんな奴だが、もらってくれるか?」                                                    真白は涙を流しながら言う。                                                                   「もちろんです。」                                                                       父上はニッコリと笑うと俺の方を向いて言った。                                                          「お前はもう一人前だ。この森から出ていくこともできる。・・・出て行くんなら後で、ちゃんと孫の顔を見せに来いよ。」