あたし、伊川 優は今えんぴつをアゴに当て悶々と悩んでいた。


今、あたしが置かれている状況。


「伊川、できたか?」

「い、いいえ………。」

ここは、塾。

あたしはアルファベットと数字、つまり当時でいう算数に頭を抱えていた。

そして、目の前には白髪のおじいちゃん先生。この塾は、有名な訳でも特別レベルが高いわけでもない、フツーの塾だ。