バイトが終わってスタッフルームに行くと



店長さんが何やらデスクで作業をしていた




みお「お疲れ様です」




山田「おぉ、みお!お疲れさん。他の奴らは?」




みお「薫君とさえちゃんはもうすぐで上がってきます」




山田「そか。明日は恒例行事だからな。今日しっかり休めよ~」




みお「ふふふ・・・はい!分かりました」



ガチャ



廉「お疲れ」



山田「おう」



みお「お疲れ様ー」



山田「雑貨は終わったか?」




廉「うん。閉店作業全部やってきたから。もう帰るよ」




みお「あ、じゃ私失礼します」




山田「気をつけて帰れよー」




荷物を持ってお店を出た




外の空気は少しむしっとしててどんどん夏に向かってるのが分かる



においが変わってきてる



夏・・・かぁ




ぼんやり空を眺めて歩きだそうとした時




後ろから声が聞こえた










廉「みお」








みお「あ、廉。どうしたの?」




廉「帰りそっちでしょ。送ってってやるよ」



みお「え、いーよ別に。そんなに距離ないし」




廉「いいから。ホラ」




みお「わっ!・・・え?ヘルメット?」




廉「だからバイク。後ろ乗ってけばいーでしょ」




バイク?



え?廉の後ろに?




みお「そんな!!いいよ!!」




廉「悪いけど俺そんなに運転荒くはないよ」




みお「違うよ!だって普通後ろの席って・・・」




大切な人が 乗る場所でしょ?




私なんかじゃなくて




サキさんとか・・・




言葉につまって黙っていると廉は私の腕をぐいっと引っ張った




廉「俺がいいっつってるんだからいーの。ほら、ヘルメットつけろよ」




みお「う・・・うん」




何だろう



すごく緊張しちゃう



どうしよう 上手くアゴにくるベルトがしめれない



みお「あ、廉・・・これってどうやって」



廉「お前どんくさいな。貸して」




廉の指が手馴れた様にベルトを素早くしめていく




そんな廉の姿にまた緊張が増した




廉「はい。こんでいーよ。後ろ乗って」



みお「は、はい」



廉「危ないから念のため手、回してくれる?」




私の手をすっと取って廉の腰に回された



わ・・・近い




廉「家、あのコンビニ近く?」




みお「えっと・・・コンビニ過ぎた交差点を右に行った白色のアパート」




廉「はいよ。じゃ、行くよ」




そう言って廉はエンジンをかけて一気にバイクを走らせた




この世界は目まぐるしく色を変えていき




バイクから受ける風が少し痛いくらいだった




でも廉の体温を感じているこの瞬間が




ものすごくドキドキした




風のにおいと一緒に廉の香水のにおいが微かにする




この時間がまるで魔法のようだった