side湊


「あいつが来たな。翔希。」

「そっすね。」

あいつは、自分の武器をふんだんに使う。

僕の経験からそう言える。

あの、どもり具合は絶対計算だと思うけど、

それは、あの術にはまった人しかわからない。

なんだかんだ言って、可愛いし。

「柊花がのまれなきゃいいけどな。」

「俺の彼女っす。大丈夫っすよ。」


いったいこの自信、どっから来るんだよ・・・。


「俺は俺なりに柊花を守ります。」


「ならさ、柊花泣かせたら、僕が許さないからね?」

「湊さんは何で柊花に拘るんすか。」

僕はきっとにこやかに笑った。

「昔愛した女の妹だから。・・・かな?」

昔愛した、その言葉がなんだか現実すぎる。まぁ。現実なんだけど。

「公佳のこと。公佳と僕、一個違いなんだよね。僕が一つ上。高校の時付き合ってた。だからかな。」

僕は、聞かれてもないのに話す。

聞いてほしかったのだろうか。

聞いてもらって僕自身の気持ちの整理つけたかったのかもしれない。