親との格闘、先生のねちねちとした尋問、親友の説得、それらを振り切ってこの道を進むことを決めたのは、願書提出期限の一日前だった。



「交通費は私がアルバイトをして自分で出す」


この言葉に親は呆れたようにため息をつき、二人の口論はこれが最後の言葉となり、私は進路先をこの学校に選んだ。

しかし、正直なところ学校はどこでもよく、福井市にあればそれで良かったのだ。

みんなと一緒の学校ではなく、遠くてもいいから知っている人がいない全くの新しい環境、そんな学校で私は一歩踏み出したかった。

歳を重ねるにつれて失った私をもう一度取り戻さなければいけない、そうでなければあの出来事は意味が無くなってしまう、そう思ったのだ。