愛しい人~歌姫の涙~

それからお互いに言葉を出さずに昼休みが終わろうとした。


「由美子は一生懸命になるものって、やっぱりソフトボール?」


次の授業の準備をしようとしているところに私は口を開いた。

別に言葉を交わさない空気が嫌だとか、気まずいのではなく、純粋に聞きたかったのだ。


「うーん・・・

そうなるかな」


彼女は少しだけ考えるように間を空けて答えた。

ソフトボールも特待生としてわざわざ県外から入学してきたのだから、進路をうちの学校に決めたときから答えは出ているようなものだろう。


「いいな」


ため息とともに、思わず本音が出てしまった。

一週間経ってもまだ見つからず、もしかしたら、そんなことを考えているだけで三年間が終わってしまいそうな私とは大違いだ。