愛しい人~歌姫の涙~

「私は中学校までは周りの視線ばかりを気にしすぎて、自分というものを偽ってきた。

そして、偽りの自分や周りの反応に身を任せて、ただ流されるようにだけ過ごしてきた。

だから、私は・・・」


続きを言いかけたところで、由美子は私の口に人差し指を軽く当てた。



悔しいな・・・



きっと、これから何度もこんなふうに私は由美子に優しくされるんだろうな。

別に勝負ではないけど私は優しさでは由美子にはこれから先ずっと勝てない、そういうことで私たちの友情関係は絆を深めていく気がする。

私だって、こんな大人びた笑みと、優しさが欲しい。