あたしには、英司って言う婚約者がいるのに。
彼以外の男の人と……
遊園地なんかに来ちゃって……、しかもこんな、
密室……。
「……、千秋?」
あたしを囲うように、ゴンドラの金網を掴んだ手。
細くても、やっぱり男の人で、筋肉質だ。
華奢だと思っていた手は、なんだか少し荒れていた。
不意に近づいた距離に、あたしはどうすることもできずに、ただその瞳を見つめていた。
千秋の顔が、七色に色を変える。
間近で見る彼に、息を飲んだ。
整っている、とは思っていた。
でも、それだけじゃない。
嫉妬しちゃうくらいキメの細かな肌。
長いまつ毛の奥の、黒目がちの瞳。
通った鼻筋。
熟れた唇。
少年のようなその表情が、今、艶やかに色気を放っていた。



