「怖い……」
観覧車って物凄く怖い。
ジワジワと恐怖心をあおられる。
ジェットコースターみたいに、高くても速さがあれば忘れられるのに。
こんな狭い箱に押し込められて、グルッと高いとこを回るなんて……。
小さくなってるあたしを見て、千秋は呆れたように笑った。
「怖いの? じゃあなんで最後は絶対これ!……なんて言ったの?」
「だってそうでしょ、最後のしめは観覧車だよ」
「はは。 なにそれ」
ビクビク震えてるあたしとは正反対の千秋。
余裕の笑みで、楽しそうに肩を揺らした。
ガタン
カタン
ゆっくりと静かに、観覧車はまわる。
すっかり日が沈んだ街には、色とりどりのネオンが輝き始めていた。
「……」
「……」
お互い話すことは何もなくて、ただその景色を眺めていた。



