……は?
玄関のドアを開けたまま、固まってしまった。
「なんちゅー顔してんだよ。ほら、出かけよ」
「え?」
そう言って、あたしの手を掴んだのは。
「千秋! なに突然っ」
「今日は仕事久々に休みなの。だからデートしよ」
「は? ちょ、意味わかんないっ」
グイッと腕をひかれ、体のバランスを崩す。
でもなんとか体制を立て直して、千秋の手を引き離した。
「わけは後で説明するから、とりあえず俺に付き合って」
「やだ! 行かないっ」
……。
…………。
あたしのアホ。
目の前を悠然と歩く、その後姿をチラリと見上げた。