「……ん……」



息もつけぬ口づけに、酔いしれていると布のこすれる音がした。
英司は緩んだネクタイをシュッとはずして、それを床に放り投げる。




その間も、キスの雨はやまなくて……。
そのまま、ベッドに押し込められた。



大きくてきれいな英司の手が、あたしの体を這う。


静かな部屋の中で、ふたりの息が混ざり合って。
それだけで、どうにかなってしまいそうだ。




夜景で照らされた薄暗い室内。キラキラと星屑のようにあたし達を包む。

キングサイズのベッドのスプリングが、ギシギシ軋む。




「……菜帆……、菜帆っ……」




掠れた声。

潤んだ目をそっと開けると、英司の切なそうな顔が見えた。



その表情が、いつもと違くて。
何かを振り切るようにしてる気がして……。

あたしを抱いてるはずなのに、英司がどこかへ行ってしまいそうで。




あたしは夢中で
英司の首にしがみついていた。



視界の片隅に、何度も鏡の前でチェックしたお気に入りのワンピースが見えた。