唇に視線を落とす。



少しだけ開かれた唇から、真っ白な歯がのぞく。

ああ、もう……なんでこんなに色っぽいの?



にわかに近づく距離。
くすぐったい前髪。
かすめた鼻。

優しく、そっと触れた唇。


英司からは、煙草のほろ苦い香りがする。
けど、重なった唇は甘い、甘いお砂糖の味。

あたしを溶かしてしまう、蜜の味。


そっと唇を離すと、英司はあたしの髪をくしゃりと持ち上げた。
頑張って結い上げた髪がハラリと崩れる。



「その目は反則」

「……英司……」

「我慢出来なくなる」




グッと腰をひかれ、深く重なった唇。
何度も角度を変えて、あたしのすべてを奪っちゃうような。

そんな、甘いキス。