「引っ越した? 俺が?」

「部屋は引き払われてたよ?」

「マジかよ……」


ガクーンとうな垂れた千秋は、そのまま手で顔を覆ってしまった。


知らなかったんだ……。

じゃあ、あの家具はどこへ……。


「ね、恭子さんに言ってまた部屋貸してもらいなよ?あたしからも説明するし」

「……」


そうだよね……。
生活空間をなくしちゃったんだもん……ショックだよね……。


身動きをしない千秋の顔を覗き込もうとそっと肩に触れた。


「……千秋……」

「ま、いいや。とりあえず帰ろうぜ」

「え?」


いきなり顔を上げたかと思うと、うーんと背伸びをした千秋。
それから「行こ」ってあたしに手を差し出している。


ちょ……

「帰るって……どこに?」

「んなの、菜帆んちに決まってんじゃん。一緒に住も」

「えぇっ!?」


また強引に手を掴まれて、教会の出口に向かう千秋の背中を茫然と眺める。


住む?

一緒に?

あたし達がっ!!!?



「ちょ、ちょっと待ってよ!一緒に住むって……あ、あたし、まだいいなんて、」

「なに焦ってんの。そのうち結婚すんだし、早いか遅いかの話でしょ」

「……」


けっこ……ん?


えええええっ!!!?
話ぶっ飛んでるっ