それから数日が過ぎた。


「さ、寒い~……」

「急に真冬だよねぇ……」



仕事を終えて、あたしと倫子は、お互いに身を寄せながらオフィス街を歩いていた。
今日は友里香さんと落ち合って女子会をすることになっていたんだ。


12月ともなると、いたるところでクリスマスイルミネーションが見られるようになった。

あたし達が向かう先のお店も例外ではない。



――カラン


優しい鈴の音。
扉を開けると、コーヒー独自の香りに包まれる。

目の前には大きなクリスマスツリー。
本物の気を使っているような、リアリティ溢れるものだった。

その枝に、可愛らしいマスコットやらガラス玉が飾られている。


静かな店内は、控え目なクラシックが流れていた。
でもよく聴くと、クリスマスソングだ。



「いらっしゃいませ。お連れ様がお待ちです」


すぐさまお店の人が現れた。
まるで執事のようなその制服に、心なしかソワソワしてしまう。


こんなお店初めてだよぉ~……。

見回すと、アンティーク調の家具が並んでいて、中世のフランスのお店に迷い込んだような錯覚になった。


入り組んだ店内。

友里香さんは、その一番奥にいた。





「かんぱーい」