見ると、倫子がニヤニヤして立っている。
その手には相変わらず日傘。

彼女曰く、夏場はもちろんの事、秋とかの紫外線の方が強いんだって。



「倫子ぉ、おはよう」

「おはよ。菜帆、なんか清々しい顔してるね」

「えっ」



フフフと意味深に含み笑いをした倫子は、華奢な肩でトンとあたしを押した。


「そうそう、菜帆の恋愛運がおもしろい事に……」

「お、おもしろい事?」

「あ、ごめん。言わない約束だったよね。ごめんごめん。フフフ」

「倫子? 気になる……気になるんだけどー!」

「フフフフ」



……。

楽しそうに、それでいて嬉しそうに笑ってビルの中へと消えていく倫子。

その背中を眺めながら、少しだけポカンとしてしまう。



もしかして……。
倫子にはお見通し……?



かああああ



「ちょ、ちょっと待って! 倫子ぉ」