シュガー&スパイス


そっとあたしの頬に触れた手に反応して、ふと目を細めた。
触れた親指が、なにか確認するみたいにあたしの唇をなぞる。


それに反応するように、あたしの身体は火照っていく。

まだ、なにもされていないのに……。

恥ずかしくて、どうにかなっちゃいそうだ。



「……菜帆」



低く掠れた声。
切なくて、甘ったるくて。


千秋の言葉はあたしに魔法をかける。

鼓膜をくすぐるその声に、応えるようにあたしは千秋の頬に触れた。


「……千秋、……好き」



満タンになっていた心から、一滴の雫が零れるように。
あたしの『想い』はポロポロと零れ落ちる。


―――好き。
やっと言えた……。

言葉にしたら、もっと好きになった。

嬉しくて、涙が溢れそうだ。


そんなあたしに、千秋は一瞬驚いたように目を丸くして眉間にシワを寄せた。



……ん?
なんでそんな顔……。


「……はあ。このタイミングで言う?」


えッ?

だ、ダメだった?
てゆか、こんな状況なんだもん。

言うでしょ。
言っちゃうでしょう?

また空まわった?
そう思った瞬間、ボンって頬が熱くなる。



「だ、だって……んんッ!」


口を開きかけた時。
千秋の顔が、グッてよってキスされた。



「あーもう理性もたねぇ。 ……覚悟して。俺正常じゃいられない」



はいッ!!?