パーティで会った時も。
そして今日、千秋を誘ったもの……。


「もしかして友里香さんは、千秋を……」

「菜帆」


『千秋を好きなんじゃ……』ってそう言いかけたあたしの言葉を千秋ははっきりした声で遮った。


「違う。俺じゃない。友里香は昔も今もあの人を想ってる」

「……あの人……英司?」

「だからって、俺をダシにつかったり、菜帆を襲わせたりする理由は俺には理解できねぇけど」



……千秋をつかったのは、もしかして英司にヤキモチを焼かせるため?
あたしを襲わせたのは……前にあたしが英司と付き合っていたから、その腹いせ?

本当にそうなの?


本当は本当は、千秋の事を好きなんじゃないの?

友里香さん……。



昼間の光景が、鮮明に浮かぶ。

千秋の腕に自分のをまわし、楽しそうに笑ってる笑顔。


胸がキシキシ痛んだ。


と、その時だった。


―――コンコン


突然部屋のドアがノックされた。


慌ててドアを開けると、倫子が申し訳なさそうに立っていて。


「え、倫子? なんでノックなんかするの?そのまま入っておいでよ」


あっけらかんと言ったあたしに対して、倫子はジトーッと目を細める。


「あたしを誰だと思ってるの?そんな事するほど野暮じゃないわよ」

「?」


はあと呆れたようにため息をつかれ、「もう入っていいの?」ってわざわざ聞きながら帰ってきた。

意味が分からずに千秋に視線を移すと、あたしと目が合ってバツが悪そうに髪を掻き上げる。


……。


はっ!


やっと気づいて、真っ赤になったあたしにさらに倫子が呆れたのは言うまでもない。