シュガー&スパイス



身を引いて、びっくりしてる千秋なんかお構いなしで、友里香さんはグイグイとその腕を引く。



「昔は一緒に泳いだじゃない。今更なに遠慮してるのよ」

「は? いや、遠慮してねーし。つか、俺はいいって」

「なによ、私のいう事聞けないって言うの?いつからそんなかわいくない子になったのよ」

「……いつからって昔からそんなつもりねーから」



たわわに実る、その果実を惜しげもなく拒否る彼に押し付ける、彼女。




「……」




そんなふたりの姿を、ポカンと眺めるしかなくて。













ザザーン
 ザザァーーン



寄せては返す波の音。

穏やかなそれは、船を心地よく揺らしていた。


太陽もすっかり真上に上り、さらにその日差しを強めたみたい。

パラソルの下にいても、海が光を反射して眩しくて目を開けてられない。


でも、あたしの目がすわってるのはそれだけが原因じゃない。





……なによ。




結局、友里香さんの推しに負けて渋々海に潜って行った千秋。

入り江の方に行ったんだろうか。

ふたりの姿を確認することはできずにいた。



お腹すいた……。

モヤモヤする気持ちが、さらにイライラを募らせる。





「泳ぎ、苦手なんじゃないの?」



小さく呟いたあたしの目の前に、おいしそうなホットドッグが差し出された。