でも。
そんな願いも虚しく。
彼女の口から、とんでもない提案がされるのだった。
「あ、来た来た」
荷物の整理を終え、バッグ一つを抱えてまたリビングに降りてきたあたし達に、友里香さんは満面の笑みで言った。
「ねえ、今からみんなでシュノーケルしに行かない?」
えっ
思わず固まるあたし。
友里香さんの後ろのソファに英司もいて、一瞬こっちを見たかと思うと、すぐに立ち上がって出て行ってしまった。
内心ビクビクしていたから、少しだけホッとする。
だって、英司と一緒にいるだけでなんか気まずいというか。
微妙な空気になるのに、それに加えて、今は千秋がいる。
チラッと後ろを振り返る。
千秋は、友里香さんの提案に「えーめんどー」って顔をしかめてる。
千秋との関係も、あやふやな宙ぶらりんの状態。
……この間熱を出した千秋が、あたしに聞いた事も。
次の日、本人は全く覚えてないみたいだったし……。
あたし、どうしたいんだろう。
千秋の事……。



