シュガー&スパイス



「うわぁん。 つ……かれた……」



ドサっ


両手を広げ、ベッドの上にダイブ。
力尽きたあたしは目を閉じる。


まだ到着したばかりだというのに、ものすごい疲労感に襲われていた。



「ねえ、友里香さんって、菜帆と佐伯さんが付き合ってたの知らないんだよね?」

「知るわけないっ……」



ふたつ並んだベッド。
そこに、あたしと向かい合うように座った倫子が苦笑いで言った。

倫子のその言葉に、思わずガバッと起き上がる。


知るはずない。

……と、思う。


考え込んでるあたしに、倫子は「だよね」と言って。
それから「でも」と付け加えた。



「もし。知らなかったとするなら、純粋にあたし達を呼び寄せたとするならそれでいい。でも……佐伯さんの事も知ってて、それに千秋くんも呼んでたとするなら……」



……まさか。

ははと笑ってみても、なんだか心に重くのしかかる“なにか”が消えてくれることはなくて。


たった一泊の旅行だけど、あたしは言い知れぬ不安に襲われていた。

はあ……。


神様、お願いです。

どうか、どうか何事もなくこの旅行が無事に過ぎ去りますように……。