タクシーを拾って1時間の道のり。

海岸線をひた走る。


窓から見えるのは、輝くエメラルドグリーンの海。


サンゴ礁の波は穏やかで。

ウィンドサーフィンをやってる人が結構いて、太陽の日差しを受けてキラキラ光る波間に、ユラユラと帆が揺れてる。



修旅は北海道だったし……。
海外に行った事あるけど、タイと韓国だったから、こういうリゾート地って初めてでワクワクしちゃう。


隣に座る倫子を見ると



「……倫子、また塗ってるの?」



日焼け止め、さっきも塗ってなかった?
首を傾げると、倫子は「あまーい!」って眉をひそめた。


「あのね、一回塗ったとしても汗と一緒に落ちちゃう場合があるの。念には念を。ってね」

「そ、そうなんだ……」


でも、倫子海で泳ぐって水着一緒に選びに行ったのに……。
そしたら結局日焼けしちゃうんじゃないかな。



それから今度は、助手席に座る千秋に目をやる。

あたしと違って対して景色を見るわけでもなく、帽子を目深にかぶって瞼を閉じていた。



……つまんないの。


そうこうしてるうちに、あたし達を乗せたタクシーは、森の中を走っていた。

狭い道。

まるで木々があたし達を避けてくれてるような錯覚になる。


猫バスに乗ってるみたい。

なんて、ワクワク。



それからしばらく狭い山道を登り、そして下り。
急に視界が開けた。



「わあ……素敵ッ」
「うわぁ……」



あたしと倫子は、思わず前に身を乗り出す。




目の前にオーシャンビューが広がっていた。