本日快晴。


ジリジリと肌を焼く太陽と
どこまでも抜けるように青い空。

真っ白な入道雲が、行き場をなくして頭上で広がっている。




降り立ったのは沖縄。

道路沿いに並ぶ、ヤシの木があたし達を出迎えてくれた。




「んー!気持ちいい」



両手を高くつき上げて、うーんと伸びをするのは倫子。

そんな倫子を眺めて、あたしは思わずため息を零す。



「あれ、菜帆テンション低い?」

「……そんな事ない」



ってのは嘘。

そんな事ある。


大ありだってば!


あたしのテンションを限りなく下げているもの、それは……。



フイッと後ろを振り返る。



「……アチィ」



ビク!


あたしと同じように低いテンションと低いトーン。
彼は目深にかぶった帽子をクイッと持ち上げた。

目が合う。

すると、とたんに不機嫌そうに眉間にシワを寄せた千秋がいた。




ビクビクッ



千秋はあたしに並んで立つと、視線だけを落とした。



「……なに睨んでんスか?」



ひどッ。



「べ、別に睨んでない……」



なんでこんな状況になってるかと言うと……。
千秋の部屋で、やむなく朝を迎えてしまったあの日。


倫子からの電話で、千秋の名前が友里香さんから出てると聞いたんだ。


あたしと千秋が、あのパーティで一緒にいたのを見てる彼女が、なぜか勝手に勘違いして。
一緒に旅行する羽目になってしまった。


なんのつもりだろう……