「……」
柔らかく閉じられた瞳。
嫉妬しそうなほど、長い睫が揺れてる。
キレイだなぁ……。
肌もスベスベだし。
ほんと、これなら黙ってても女の子がほっとかないよね……。
無防備な寝顔を、食い入るように見つめてる自分に気づいて、慌てて、身を引いた。
帰ろ……。
もう、大丈夫たよね
でも、思いの外その手はしっかり握られていて、離そうとすればするほど、力が込められてく。
えっ
まさか起きてる?
恐る恐る、その寝顔を覗き込むとそれはやっぱりさっきと変わらない、無邪気な寝顔で……。
はぁ……
あたしは小さくため息をつくと、そっとベッドに体を預けた。
もう。
ずるいのはどっちよ……。
そう思いながら、嫌な気は全然しなくて。
友達、以上……か。
ためらいがちに
手を伸ばして
彼の前髪に触れた。
カチカチ
カチカチ
って、時計の針が静かに時を刻むように、この瞬間も、あたしの中に彼への想いが刻まれていくようで。
キシキシ痛むそこを、服の上からギュッと掴んだ。
あたしは
千秋のことどう思ってる?
ねぇ……
千秋は、あたしのこと……
どう、思ってるの?



