カラン



涼しげな音を立てて、メロンソーダに浮かぶ氷が揺れた。



「はあ……」




汗をかいたグラスの中で、次から次へと気泡が出るのをボーっと眺めては、またため息。




「、……菜帆?ねえ、菜帆ってば!」




……ん?

顔を上げると、目の前に呆れたような倫子がいて。



あっ
し、しまった……。
今、完全にトリップしてた……。




今日は、倫子と夏休みの予定たてにきてたんだった。

せっかくの長期休暇があるにも関わらず、予定のないあたし達。
だから、小旅行行こうって事になったんだ。
他の同期の子も誘ったんだけど、結局集まったのは、あたしと倫子のふたりだけで。




「あ、ごめん、倫子。なに?」

「もおー!何じゃないよぉ、海か山! そこも決まってないんでしょ?」

「そっか。 ごめん……」




そう言ってテーブルの上に並べられたパンフレットに身を乗り出した。

そんなあたしに、倫子はため息を漏らす。




「ここんとこずーっとそう。 なにかしててもうわの空。どうしちゃったの?」

「どーもしないよ?ないない」

「うそ!」



鋭い視線に思わずたじろぐ。

あたしは意味もなく、パラパラと手にしたものをめくった。