倫子は人差し指をグイッと目の前に突き出すと、少し興奮気味に言った。

思わず身構える。



「菜帆!」

「は、はい」



ゴクリ、なんて唾を呑み込んでみたりして。




「しし座の今日の運勢は最下位なんだよ!」


「運勢?」




どんな不吉な事を言われるとかと思いきや。
星座、ですか?

なんだか拍子抜け。


「最下位なんだ?朝の占い、見る暇なかったから……」


苦笑いなのがバレないように、あたしは棚から急須を取り出した。



そんなあたしの後をついて歩くように、倫子は少し声を潜めて言った。

その瞬間、バラの甘い香りに包まれた。
倫子の香水の匂いだ……。


真っ白な肌に小さな顔。
それに不釣合いな程大きな瞳に、赤く熟れた唇。

まるで倫子は、人形みたいに儚くて可憐なイメージ。
あたしとは正反対だ。