シュガー&スパイス




飴色の両開きの扉を開けると、
木製のそれは、重々しい音をあげてゆっくりと開いていく。




コツン コツン




高い空間に、ヒールの音が、やたら響く。
厳粛な教会の中には、小さなバージンロード。
それを挟むようにして、扉と同じような木製の椅子が6列並んでいた。

そしてなにより目を引くのは……。



「大きなステンドガラス……」



それは、この小さな教会に不釣り合いなほど、大きくて立派なものだった。


夜の教会は、もちろん暗いけど、
バージンロードの先にあるそのステンドガラスが、月からの光を、七色に変えてあたし達を幻想的に照らしていた。




先に歩いていた千秋が、前から2列目の椅子に腰を落とした。

そして、静かにステンドガラスを見上げた。



「……」



あたしもそれにならって、彼の隣にそっと座った。

あたしが座ったのを確認すると、千秋が小さく息を吸い込むのがわかった。