最近、何かと会う機会が多くて。
あ、もちろん社内でだけど
フラれてるあたしからすると、すっごく気まずいんだよね。


そう、それで、前にエレベーターで英司がプレゼントくれてから、なんだかやけに話しかけられるとゆーか……

仕事の事だけど。




わざわざうちの課に来て、『これ、部長に渡しておいて』とか
それってあたしに言わなくても全然いいよね?




「ねえ、気づいてる?
佐伯さんが話しかけてきても、菜帆平気な顔してるよ?
前は真っ赤になってたのに」




……確かに。

付き合ってる時は、英司と顔を合わせるだけで心臓がドキドキして緊張してたっけ。

顔は……気づかなかった。
赤くなってたのか……。





「佐伯さんってさ、前は極力菜帆とは話さないようにしてたのにね。
別れちゃったら、別にもう見られても構わないって思ってんのかな」


「そうなのかなー。
って、それって英司の都合でしょ?
あたし、まだそっとしといて欲しいのに。心の傷は癒えてないのー」




そう言って、こくっとコーヒーを飲み込んだ。





「……傷ねえ」



倫子はなぜかプククと含み笑いしながらあたしを覗きこんだ。



なっ なに?