「なあ、なあ。この後ってなんか予定ある?」

「え?……ないけど」

「それなら、飯食ってかね?」



なんて楽しそうに言う千秋。



「……」



……てゆか、言い方チャラくない?

眉間にシワを寄せたあたしを見て、なぜかおかしそうにニヤリと笑った。



「行こうよ、ご馳走するんで」



語尾に、ハートマークついてた気がして、思わずたじろぐ。
……そ、そんなかわいく言ったってダメなんだからね!






……て。
あたしって実は押しに弱いのかな……。


前を行く千秋を盗み見ながら、小さくため息をついた。



「うまい店教えてもらったんだ。 きっと菜帆も気に入るよ」

「へえ」



人ごみを避けながら歩く千秋。

真後ろを歩くあたしを、時々振り返りながら歩いてるあたり、気を使ってくれてるのかな……。