「このパンケーキ最高ッ」

「ほんと。 やっぱりバナナとの相性バッチリ」


小さめだけど、ちゃんとしたパンケーキ。
もうすっごく幸せ!


これで午後もがんばれるッ。


なんて事を話しながら、最期の一口を口に入れたその時。




「いらっしゃいませー」




ひっきりなしに出入りしている、お店の扉に自然と目が行く。

見覚えのある立ち姿に、心臓がドクンと波打った。



「……」



固まったあたしに気がついた倫子が、あたしの視線の先を追う。




どうして……。

今までこんなふうに外で会った事なんかないのに……。



「あれ、もうこんな時間。 戻ろ」



そう言って、先に席を立った倫子。


そこで我に返り、あたしも続いて席を立つ。
時計に視線を落とすと、たしかにあと少しで休憩時間が終わってしまうところだった。




会計をすませ、お店をあとにする。

ギラギラと照りつける日差しの下、倫子がすかさず日傘をさした。



「あーあ。またあの寒いところに戻らなくちゃ。空調管理、どうなってるんだろうね」

「うん。ほんと」



苦々しく顔を歪めた倫子に、思わず吹きだしそうになった。



そして、ちょっとだけ今出てきたお店を振り返る。




「……」




英司が、いた。

見知らぬ女の人と並んでた。