「その気持ちは嬉しいが、やはり私にとっては迷惑だ」

「チャンスをくれ!このままでは協力してくれた皆に申し訳ない」

だから、その申し訳ない気持ちを私にも向けろよな!

「チャンスって…なに?」

「お試し期間みたいなチャンスを。何もせずこのまま先輩にフラれてしまうのは辛すぎる」

お試し期間とはな。小泉よ、私は君の何を試せばいいんだ?今も試せる男気を見出だせないんだが。

しかし、この状態の小泉を納得させるのは困難そうだ。それでも私との接点がないことを彼に理解してもらわないといけないし…。

「それじゃ、こうしようじゃないか。君は滑稽な男なんだろ」

「滑稽?」

「失礼、間違えた。君は面白い男なんだろ。今この場で私を楽しませたら、君が提案したお試し期間とやらを考えてみるが」

そして、必死になる小泉を失笑でもすれば、心の脆い彼のことだ、私のことを諦めてくれるだろう。

「わかった!先輩を必ず楽しませる!」

「うん。なら、泣き止むがいい。これから私を楽しませようとする実演者が泣いていては話にならんからな」

「5分だけ待ってくれ!」