「だって、悲しいじゃないか!想いが上手に伝わらない。たいした歳の差でもないのに先のこと考えてもらえない」

もう小泉の涙はボロボロと溢れ出し、鼻水まで垂れ流し始める始末。それはまさしく号泣!男なのになんて脆い心と緩い涙腺なんだ!

私は思わずポケットからハンカチを取り出し、小泉の顔にそれを当てた。

「男がなに泣いてるんだ情けない。ほら涙を拭きなさい。そして鼻をチーンしなさい。せっかく良いルックスしてるのに台なしだぞ」

「もういい!ほっといてくれ!」

「先輩として、泣きじゃくる後輩をほっとけないだろ。そんなにこの私が好きか?」

「です!」

「私のどのへんが好きなんだ?」

「全部!」

おおざっぱな想いだな。

「たぶん君は勘違いをしてる。私のことが好きなんじゃない。年上の女子とつきあう、そうしたシチュに憧れてるだけだ」

「シチュとかじゃない!今の先輩が好きなんだ!もし仮に先輩が幼稚園児でも人妻でも好きだ!」

小泉…。君は道徳ってものをもっと学んだほうがいいぞ。でないと大人になってから社会的地位を失いかねないからな。