「リアちゃん、こんにちは。


いつも、ご苦労さま」




にこにこ と 愛想の良い看護師さんが、声を掛けてくれた。


毎日 毎日 通ってるから、

しっかり名前を覚えられてしまった…みたい。




でも あたしも、

この看護師さんは感じが いいから、

ちゃんと覚えてる。






「こんにちはー、坂城さん。


″かず兄″が いつも お世話に なってますー 笑




最近、坂城さんに お会いしません…でしたよね?


だから すごく寂しかったんですよー。


夜勤が多かったんですか?」




あたしは沈黙が怖いから、

会話が終わらないように必ず一言 付け加える。


だから よく おしゃべりだ、と 思われてしまう けれど、

実は喋る事 自体は、そんなに好き でもない。


…って言うより、寧ろ苦手。


だから もしかしたら、″つまんない″って思われる事が、

怖いのかも、しれない。






「うん、そうなの。


昼間も、ちょうどリアちゃんが来る時間帯から外れてて…」




「…そうなんですかぁ」




そう相槌を打った所で会話が途切れそうに なって、

でも何か喋っていないと不安で、

だけど お仕事中だから あんまり坂城さんを引き留めてちゃ悪いし…

なんて考えてたら、

今まで黙っていた かず兄が、ここに来て徐に口を開いた。






「…リア。


坂城さん、仕事中なんだから。




…坂城さん、すみませんね。


こいつ、おしゃべり で」