「…リア…、

今日は もう そろそろ帰んなよ」




…あれから…、

″あの子″を追い掛けよう と したけれど、完全に見失ってしまって…

なぜか あの子を追い掛ける事に非協力的な みちるくんも結局 帰ってしまって、

あたしは また無意識に かず兄の部屋に来ていた。






「え…?」




「…あ、″帰れ″って意味じゃなくて 笑


ただ、無理して此処に居る事、ないよ」






「無理…?」




…あたしは、無理して此処に居るのだろうか…?


…もう、

自分の感情なのに…何が何だか、分からない。






「…そ。


″本当にリアが居たい場所″に、

今日は帰りなよ。


その方が いいんじゃない?」




「本当に居たい場所って…」






―…何処……?―




「……」




黙りこむ あたしに、かず兄は少し吃驚したように、言った。






「リアさぁ……、

…もしかして…、気付いてないの?笑」




「気付いてない って…??」






「…リア、

本当に此処に居たいと思ってる?」




「…?」






「リアの居たい場所は……、

本当に″俺″の所なの?


本当は、違う人の所じゃない?笑」




「……」






―何で それを かず兄が言うの…?―




「っ…あたしは…っ

かず兄の事が……っ」




…″すき″って言い掛けた。


″好きだから、此処に居たい″って。




でも音には、ならなかった。






―それ、…ホント?


……ほんとは…

本当の、本当は……?―




言葉に詰まった あたしを見て、

かず兄は優しく笑った。