「…あの……」
「………」
その時、
とりあえず口を開き掛けた和だったが、
香澄の視線が和を通り越して後ろの方に向けられているような気がして、
慌てて次の言葉を飲み込み、後ろを振り返った。
「……あ…!」
香澄の視線の先には、
紛れも無く今 到着したばかりの貴史が立って居て、
和は思わず驚いて声を上げてしまったのだが、
貴史も和を見て、今までに見た事がない位、
吃驚したような顔を、していた。
しかし それは一瞬で、
すぐに いつもの調子に戻ると、笑いながら言う。
「…何で居んの?笑」
「…何でって言われても…」
本当の事を言おうか どうしようか迷って和が言葉を濁すと、
香澄が助け船を出すように、言った。
「和ちゃん、凛ちゃんの友達なんだってー。
俺が寂しがってる と 思って、
凛ちゃん、他にも友達 呼んでくれたんだよ。
その友達は、さっき帰っちゃったけど…さ」
「…ふーん」

