凛の気持ちは分かる、と思った。
しかし
″貴史に秘密がある″という事実が、
和の、貴史に対する思いを、薄れさせそう だった。
不可抗力では あったかも しれないが、
貴史は凛に、秘密を話した。
だから もし その場に居たのが自分だったと しても、
不可抗力で話してくれたかも…しれない。
しかし それは、
何度 偶然 会おうと、泣いていた時にピアノで落ち着かせてくれようと、
一緒に学校を抜け出そうと…
病院で会うという不可抗力が無ければ、貴史が自分の秘密を自分から話してくれる事は なかった、という事で…。
和は、
自分では貴史の世界に踏み込めない…踏み込ませて貰えないのだ、という事を
思い知らされたような、気がした。